2012年8月17日金曜日

連載シリーズ「ほんやマ.のほん」第16回

やっと漫画を借りることができた子どもは、そんな
おかあさんのことを考えると、さっきまでのうれしさ
が、どこかへ飛んで行ってしまうのを感じるのです。
大好きな漫画を借りたのはいいけど、家に持って
帰ったらおかあさん、何て言うだろう。心配になった
子どもは、今度はおとうさんのことを考えることに
しました。おとうさんなら大丈夫かなあ?ぼくが初めて
自分の力で本を借りられたのを、一緒に喜んでくれ
るかな?漫画を借りていっても、叱らないかな?
そこまで考えて子どもは、おとうさんもだめだな、と
しょげてしまうのです。だって、子どもには思いあたる
ことがいっぱいあるのですから。
この前、おとうさんと出掛けた時もそうだったのです。
子どもがおみやげを買ってと言うと、おとうさんは
おかあさんのことばかり心配して、おかあさんがいい
と言うものしか、買ってくれないのです。本にしたって、
童話なんかは、自分から買ってやろうかなんて聞くくせ
に、前から読みたいと思っていた漫画本は、おかあさん
に叱られるからなって言って、買ってくれた例がないの
です。せっかく借りた漫画本も、家ではおおっぴらに
読めそうにもありません。貸本屋を出た子どもは、そこ
いら辺に腰かけて読むことにしました。

    ☆     ☆

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ようこそ!街のふるほんや『本のある暮らし』へ Part.36

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