第3弾「内記稔夫と貸本屋の世界」が開催されました。
2013年1月14日大雪にもかかわらず、多数の参加者で
米沢嘉博記念図書館2階閲覧室は熱気一杯。
司会進行は、宮本大人氏(明治大学准教授) 写真向かって左はし
下記のレジュメに添って話しが進められました。(レジュメ作成:宮本大人氏)
1.貸本屋さんとは
1.1.戦前戦中まで
江戸期(元禄期ごろ)に成立。求められるところに届け、
一定期間後交換に行く巡回式。
江戸後期の江戸で600~800あったといわれる。
明治期以降、古本屋などとの兼業での店舗形態増加。
保証金を取って、高価な学術書を学生に貸し出すなど。
雑誌回読業の形態も。
1.2.戦後型といわれる営業形態
・新刊をすぐに貸し出す
・保証金なしの信用貸し出し
・蛍光灯で明るい店内に
※保証金なしの新刊貸し出しという営業形態自体は、
戦前からあったが、戦後、1948年に神戸のろまん書房が
この形態をとり、同じく神戸から出たネオ書房の成功
(神戸、大阪、東京でのチェーン店展開)によって、全国に普及。
1950年代に爆発的に増加、最盛期、全国に3万軒といわれる。
1.3.貸本漫画、貸本小説
この時期、主に貸本屋で流通することを前提に作られた、
貸本小説、貸本漫画が、数多く出版されるように。
→60年代末まで。
貸本漫画:1959年、そこから「劇画」が誕生することになるほか、
漫画史的に見て重要な作家、作品、ジャンル、潮流が、生まれている。
1.4.貸本屋の衰退
60年代に入ると、テレビの普及や、少年週刊誌の発展に押されて衰退。
→70年代末には3000軒程度になったといわれる。
2.大竹さん、田中さんに聞く、貸本屋さんの毎日
・仕入
・一日のサイクルなど
3.貸本屋さんとしての内記稔夫
山吹文庫(55=昭和30年)、青柳文庫(58年)、(新)山吹文庫(64年)、
ナイキ書房(69年)、「街の図書室 ナイキ漫画館」(78年)
4.大竹さん、田中さんと内記さんとの出会い・付き合い
・石子順造氏との出会い(1975年の取材)
・マンガ資料館に向けて:貸本文化研究会発足(76年)
・現代マンガ図書館開館(78年)まで
5.近年の貸本屋さん、貸本文化の記録、内記さんの仕事の意味
1.1~1.4までを会場内のスクリーンに写真や関係資料を
映し出しながら、宮本大人氏が解説。一足飛びではあるが、
江戸時代からの貸本屋像と現在に至るその基礎的知識が
分かりやすく紹介される。
いよいよ、本日の講師:大竹正春氏の登場
(貸本文化研究会世話人)
1953年(昭和28年)9月18日、「大竹文庫」開店
開店当初は、朝から晩まで年中無休で営業。
1975年、石子順造氏との出会いで、内記さんと
3人での「マンガ資料館」作りの話で夜明かしした
ことも度々だったと、熱く語ります。
いったい、どのくらいの大きさの資料館をつくりたいのかネ。
それなら藤枝のぼくの家の近くに手頃の売地があるから、
君、いっしょに買わないか。それはともかく、中央線沿線でどこか
貸家を探してくれないか。ぼくの仕事部屋は屋根裏でもいいから、
そこをまず資料館にしよう。家賃は、ぼくがだすヨ。
1978年に新装オープンした「ナイキ漫画館」の
店舗見学会のあと、内記さんからビッグニュースがもたらされました。
「ビルデンス・ナイキ」が竣工したんだ。
その2階を「マンガ資料館」にしようと思う。
一同勇躍「ビルデンス・ナイキ」の2階へと足を運びました。
7月16日「マンガ資料館」設立準備のための打合せ会が持たれました。
参加者は桜井昌一氏をはじめ11名でした。座は談論風発、
資料整理の具体的な話からマンガ論にまでおよび、
またたく間に時は過ぎました。決まったことは、
1 マンガの整理は週3日、水・金・日曜とし、
時間は午後1時から同10時までとする。
1 内記さんのほかには奥野保則氏が中心となって整理を進めてもらい、
参加者はその間の自由な時間にお手伝いいただくこと。
1 図書館の名称を『現代マンガ図書館ーナイキコレクション』とすること。
1 開館は秋の読書週間の期間中にしたいなどでした。
こうして「ビルデンス・ナイキ」の2階を「マンガ図書館」
とすることが決まり11月1日の開館を目標に準備活動に入りました。
そして夢にまで見ていたマンガの資料館が誕生しました。
1978年昭和53年11月1日、
『現代マンガ図書館ーナイキコレクションー』と名づけられて‥‥
(全国貸本組合連合会理事長・東京読書普及商業協同組合会長)
1973年(昭和48年)9月29日、「ほんやマ.」開店
トークイベントは、16時~17時半までの予定でしたが、
盛りだくさんの内容で、休憩もとらずにかなりの時間オーバーとなりました。
その後も1階の展示室で歓談の時間を持ちました。
今回の企画「内記稔夫 日本初のマンガ図書館をつくった男」を
主催された、明治大学 現代マンガ図書館・米沢嘉博記念図書館
とそのスタッフ・関係者のみなさん、そしてカメラマン、取材記録の方々、
なによりも、大雪の中かけつけご参加くださいましたたくさんの
みなさんに感謝したいと思います。本当にありがとうございました。
なお、交通事情等で参加できなかったみなさんごめんなさい。
※このブログの掲載写真は、事前に主催者より許可を受けて
田中一平がすべて撮影したものを使用しています。
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