2012年10月12日金曜日

連載シリーズ「ほんやマ.のほん」第24回

相模原にいた時のこと

すこし前のことになりますが、学校にいっていた時、
小田急相模原という駅のすぐ近くに、アパートを借
りて寝起きしていたことがあります。
この相模原というところは、僕にとっては、いろんな
意味で忘れられない町なのです。

 「くるみ荘」
とそのアパートは呼ばれていました。サンダルを
ぬいですぐお勝手と便所、ガラス戸を隔てて4畳半、
その奥が6畳の、そう随分長いこと人々を安らげ、
くつろがせてきたであろう、畳の敷いてある、これも
手垢とそれぞれの住人たちの匂いの染み込んだ、
白壁の部屋。そしてまたガラス戸を隔てて、北海道
からやってきたスズランと、駅の花屋さんで買ってきて、
渋谷(しぶたに)と植えたサルビアの、花咲く庭。
その庭から見上げると、
「おにいちゃん 遊ぼう」
などと言って、はしゃいでいる女の子が二人、顔を出す。
ひとりは由香(ゆか)ちゃん、もうひとりはお姉さんの
真美(なおみ)ちゃん。昼、僕が部屋でゴロゴロして
いると、庭先から上がり込んでは、プロレスごっこに
興じる二人。時には絵を描いたり、本を読んだりする。
けれど、身体を動かしている方が好き。相手をして
いると、いつの間にか汗をかく。思ったより運動量が
あるものです。

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ようこそ!街のふるほんや『本のある暮らし』へ Part.36

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